Wednesday morning at five o'clock as the day begins

Silently closing her bedroom door

Leaving the note that she hoped would say more

She goes downstairs to the kitchen clutching her handkerchief

Quietly turning the backdoor key

Stepping outside she is free

 

水曜の朝5時にその日は始まった

ベッドルームのドアをそっと閉めると彼女は

もっと話したかったと書置きを残して

ハンカチを握り締め キッチンに下りてゆく

裏口のドアの鍵を静かに開けて

外に踏み出すと 自由だ


She (We gave her most of our lives)

Is leaving (Sacrificed most of our lives)

Home (We gave her everything money could buy)

She's leaving home after living alone

For so many years (Bye bye)

彼女は (私たちは娘に人生の大半を捧げてきたのに)

家を (ほとんどを犠牲にして)

出てゆく (お金で買えるものはなんでも与えてきたのに)

長い間一人ぼっちだった家を

出てゆく バイバイ

 


Father snores as his wife gets into her dressing gown

Picks up the letter that's lying there

Standing alone at the top of the stairs

She breaks down and cries to her husband "Daddy our baby's gone

Why would she treat us so thoughtlessly?

How could she do this to me?"

 

父親はいびきをかいて寝ているが

母親はガウンをはおり 残された手紙を手に取る

階段の上で立ちすくし やがて

夫のもとへ泣きついた

「お父さん 私たちの娘が行ってしまった

こんな心無いことがどうして出来るのかしら

なんてことをするのかしら」


She (We never thought of ourselves)

Is leaving (Never a thought for ourselves)

Home (We struggled hard all our lives to get by)

She's leaving home after living alone

For so many years (Bye bye)

彼女は (私たちは自分達のことなど考えもしなかった)

家を (けっして私たちの考えを押しつけたりしなかった)

出てゆく (苦労して育てたのに)

長い間一人ぼっちだった家を

出てゆく バイバイ


Friday morning at nine o'clock she is far away

Waiting to keep the appointment she made

Meeting a man from the motor trade

 

金曜の朝9時には遠くにいる

カー・セールスの男との約束を

守るために


She (What did we do that was wrong)

Is having (We didn't know it was wrong)

Fun (Fun is the one thing that money can't buy)

Something inside that was always denied

For so many years (Bye bye)

彼女は (何が悪かったのかしら)

楽しく (娘のためだと思ってきたのに)

遊んでいる (楽しみだけはお金では買えない)

永年否定され続けた何かが

心のうちに積み重なった (バイ バイ)

彼女は家を出てゆく (バイ バイ)


最高のアルバムと称されている

Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Bandに収録

1967年リリース

 

大ヒットはしなかった(と思う)けれど話題の多い曲

Paulが新聞で家出をした少女の記事を読みすぐに詞を書き

Johnがメロディーをつけ

今までの曲とは雰囲気の異なる作品に仕上がった

詩の中の( )内の部分は

実際に失踪事件を起こした少女の両親のコメントとして

新聞に載っていたものらしい

 

そしてあの有名な[カーセールスの男]について・・・

この男は当時 車のショウルームで仕事をしていた少女の友人

テリー・ドーランのことだと うわさが広まった

しかし Paulによれば 

あのラインは完全にフィクションで全くの偶然のことだという

 

Paulがヒントを得た記事とは

デイリー・ミラーのトップページを飾った

17歳のメラニー・コー失踪事件

メラニーは歌詞の内容はほとんどそのまま自分のことだと言っているが

実際は

家を出たのは昼間 両親は仕事に出て留守中

カーセールスの男ではなく 

カジノのディーラーと出会い家を出た

そして 家出は一週間で終わった

 

偶然にもメラニーは事件の三年前に

TV番組"Ready Steady Go!"に出て優勝した時

Paulに会っている

 

曲の仕上げを急いだPaulは

都合のつかないGeorge Martinに代わり

Mike Leanderに編曲を依頼

このことに気分を害したGeorge Martinだったが

結局は最終プロデュース 弦楽部分の指揮を担当した

 

親は良かれと思って

全て娘のためと思って育てても

そして 親の期待を感じて

反抗も出来ず 素直に育っても

心の奥深く 鬱積した思いは

いつか吐き出される

家族に囲まれていても

分ってくれる人はいない 

心は満たされない

どうしてだか 

何が悪かったのか

親は全く気がつかない・・・