I Am the Walrus : The Beatles



I am he as you are he as you are me and we are all together.

See how they run like pigs from a gun, see how they fly.

I'm crying.


Sitting on a cornflake, waiting for the van to come.

Corporation t-shirts, stupid bloody Tuesday.

Man, you've been a naughty boy, you let your face grow long.

I am the eggman (woo), they are the eggmen (woo), I am the walrus,

Koo koo kachoo.


Mister City P'liceman sitting

Pretty little policemen in a row.

See how they fly like Lucy in the Sky, see how they run.

I'm crying. 

I'm cry, I'm crying, I'm cry.


Yellow matter custard, dripping from a dead dog's eye.

Crabalocker fishwife, pornographic priestess,

Boy, you been a naughty girl and you let your knickers down.

I am the eggman (woo), they are the eggmen (woo), I am the walrus,

Koo koo kachoo.


Sitting in an English garden waiting for the sun.

If the sun don't come, you get a tan from

Standing in the English rain.

I am the eggman, they are the eggmen, I am the walrus,

goo goo gajoob ga goo goo gajoob.


Expert texpert choking smokers,

Don't you think the joker laughs at you? (ho ho ho, he he he, ha ha ha)

See how they smile like pigs in a sty, see how they snide.

I'm crying.


Semolina Pilchard, climbing up the Eiffel Tower.

Elementary penguin singing Hare Krishna.

Man, you should have seen them kicking Edgar Allan Poe.

I am the eggman, they are the eggmen, I am the walrus,

Koo koo kachoo koo koo koo kachoo koo koo



(then random beatles chatter and noises)

ビートルズの曲から「アイ・アム・ザ・ウォルラス」I Am the Walrus(壺齋散人による歌詞の日本語訳)


  僕だって 君だって あいつだって みな同じさ

  見ろよ 豚小屋から豚が弾丸みたいに飛び出したぞ

  それ見ろよ


  コーンフレークに座って 車が来るのを待ってるぞ

  Tシャツを着てさ 何とかの記念日に

  まったくだらしなく見えるぜ 鼻の下を伸ばしてさ

  卵みたいに 丸々太って セイウチだよこれじゃ

  ほんとにね



  警察官の皆さんが

  一列に整列してるよ

  まるでルーシー・イン・ザ・スカイみたいにかっこいいね

  まったくだよ

  しびれるよ ほんとにね


  黄色いマスタードみたいに 目にしみてこたえるよ

  カニのフライだって ポルノの女王だって

  こんなにしびれさせてはくれないよ オー ボーイ

  卵みたいに 丸々太って セイウチだよこれじゃ

  ほんとにね



  庭園で日向ぼっこをしているとさ

  日は照ってくれなくて かえって雨が

  降ってきたんだよな

  卵みたいに 丸々太って セイウチだよこれじゃ

  ほんとにね 困ったことだ


  ジュゲム ジュゲム ごぼうのすりきり

  ほんとにわけがわからないね(オホホ イヒヒ アハハ)

  これじゃ豚小屋の豚と変わりないや

  ほんとにね 



  甘ったるいお菓子が エッフェル塔を登る

  ペンギンたちが小学唱歌を歌う

  これじゃエドガー・アラン・ポーもびっくりだぜ

  卵みたいに 丸々太って セイウチだよこれじゃ

  ほんとにね 困ったことだよ ほんとに



1967年にリリースされたビートルズ16枚目のシングル・アルバム。ジョン・レノンとポール・マッカートニーの共同作品だが、実質的にはジョン・レノンが作った。Walrusは、セイウチのこと。


レノンはこの歌の中で、ハンプティ・ダンプテイのパロディを歌っているのだと思う。


I Am the Walrus の音楽的分析並びに歌詞分析(渡邉真衣子)

【解題】

渡邉真衣子さんのこの「アイ・アム・ザ・ウォルラス」論は、たった一曲に微視的な視線を開くだけで、「世界」が完全開示される素晴らしい機微を伝えている。むろん視線は一曲のうえに張り詰めている多層を探り、一枚一枚をめくるように動く。「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の原曲(しかもイギリス・ヴァージョン/アメリカ・ヴァージョン)、作曲者ジョン・レノンがインスパイアされたルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』、そしてそのディズニー版の映画化、さらにはロック界の内輪話。結果、シュールでサイケデリックな歌詞の細部がみるみる実質づけをなされてゆく。しかもそれが歌詞細部の相互交通をも付帯するから、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の歌詞が分光器にかけられたように、よりカラフルな光を発するようにもなる。「解釈学」の王道を、渡邉さんのレポートはそのように歩んだ。

 なぜ、「セイウチ」が登場しているのかは、キャロルの用意した「セイウチの大工」の挿話によって明かされ、豚が飛ぶ理由もついでにわかる。僕がびっくりしたのは「エッグマン=タマゴ男」が、当時、「エッグ」と渾名されていたアニマルズのエリック・バートンへの揶揄を含んでいる、ということだった(ハンプティ・ダンプティだけではなかったのだ)。なぜそんな渾名だったのか。ジョンはその変わった性癖からエリックを「エッグ」と呼んでいた、と渡邉さんの文章にはあるが、おもわず納得できそうなるこの書きかたも面白い。

 歌詞を微視的に渉猟しつくしたのち、渡邉さんの記述は、曲と演奏の解析へと移る。ここでは裏話すら含めて「トリビア」があふれ出す。ここも「ウォルラス」の歌詞同様、玉手箱をひっくり返したような印象。そうか、「アイム・クライング」とブライアン・エプスタインの急死も連動していたのか。

 ともあれ、全体から判明する渡邉さんの資質に圧倒される。視点が細かく、エピソードを拾いあげてゆくザルの目というか身体の目盛りが異様に密なのだ。そうして蒐集されたものが、細密画の幻惑を演じてしまう。これはすごい資質だとおもう。恐らく、彼女は小説についてのレポートを書いても、同じ眩暈を繰り広げるのではないか。

  気に入りました。

(阿部)


I Am the Walrus の音楽的分析並びに歌詞分析(渡邉真衣子)



I Am the Walrus の音楽的分析並びに歌詞分析

第二文学部 文学・言語系2年 渡邉真衣子



I Am The Walrus           Beatles

「アイ・アム・ザ・ウォルラス」    ビートルズ


I am he as you are he as you are me and we are all together.

君=彼、君=僕、だから僕は彼 みんな一緒

See how they run like pigs from a gun, see how they fly. I'm crying.

みろよ 豚が銃を向けられて逃げるどころか飛んでるぜ 泣けちまう

Sitting on a cornflake, waiting for the van to come.

コーンフレイクのうえに腰掛けて 送迎者を待っているんだ

Corporation tee-shirt, stupid bloody tuesday.

社名プリントTシャツ バカげた血の火曜日

Man, you been a naughty boy, you let your face grow long.

おい お前、悪ガキだろ 顔がぐんぐん伸びてってるじゃないか

I am the eggman, they are the eggmen. I am the walrus, goo goo g'joob.

僕はタマゴ男 奴らもタマゴ男 僕はセイウチ グーッ グーッ ジョーブッ


Mister city policeman sitting  Pretty little policemen in a row.

市警が 小柄で可愛い警官の上に座って隊伍を組む

See how they fly like lucy in the sky, see how they run.

奴らが空飛ぶルーシーの向こうに張って飛ぶのを見ろよ あの慌てぶりといったら

I'm crying, i'm crying I'm crying, i'm crying.

泣けちゃう ホント泣けちまう

Yellow matter custard, dripping from a dead dog's eye.

死んだ犬の眼から カスタードクリーム、つまり膿が滴る

Crabalocker fishwife, pornographic priestess,

「サカナ女」も「ポルノ尼」も蟹縛り

Boy, you been a naughty girl you let your knickers down.

ありゃりゃ あんたは何たる無作法娘 パンツを下ろしちゃうなんて

I am the eggman, they are the eggmen. I am the walrus, goo goo g'joob.

僕はタマゴ男 奴らもタマゴ男 僕はセイウチ グーッ グーッ ジョーブッ


Sitting in an english garden waiting for the sun.

英国式庭園に座り 日の出を待つ

If the sun don't come, you get a tan  From standing in the english rain.

太陽が上がらなくても 英国式降雨でずぶ濡れになりゃ 肌も灼けるかもしれん

I am the eggman, they are the eggmen. I am the walrus, goo goo g'joob g'goo goo g'joob.

僕はタマゴ男 奴らもタマゴ男 僕はセイウチ グーッ グーッ ジョーブッ


Expert textpert choking smokers, Don't you thing the joker laughs at you?

モウモウもくもくの愛煙家よ ジョーカーがあんたを笑ってるとは思わんか

See how they smile like pigs in a sty, See how they snied.

あの笑いといったら 豚小屋のブタ ブウブウいわせて

I'm crying.

涙が出るほどおかしい

Semolina pilchard, climbing up the eiffel tower.

セニョリーナ・ビルチャ―ドがエッフェル塔をほいこらさ

Elementary penguin singing hari krishna.

幼稚園児ペンギンがハレ・クリシュナを唄ってる

Man, you should have seen them kicking edgar allan poe.

エドガー・アラン・ボーを論駁した 傑作の様子をみるべきだったな

I am the eggman, they are the eggmen. I am the walrus, goo goo g'joob g'goo goo g'joob.

僕はタマゴ男 奴らもタマゴ男 僕はセイウチ グーッ グーッ ジョーブッ

Goo goo g'joob g'goo goo g'joob g'goo.

グーッ グーッ ジョーブッ


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 「アイ・アム・ザ・ウォルラス (I Am the Walrus)」 は、ジョン・レノンが作った曲でボーカルも彼が担当している。「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」と並ぶジョンの代表的名曲である。サイケ時代のジョンの総決算的な曲といって過言ではない。


 授業の際初めて聞いたが曲・歌詞共に大変奇妙でサイケデリックな歌だと思った。詞作、サウンドとも凝りに凝った大作で、ジョンはシングル発売を希望した。しかし、「一般受けしない」という理由から却下され、全く逆のシンプルで覚えやすいポールの「ハロー・グッドバイ」にA面の座を譲って1967年 11月24日、B面曲として発売された。このエピソードで2人の進む道が大きく離れてしまっていることを思い知らされる。


 同年12月発表のテレビ映画、『マジカル・ミステリー・ツアー』に同曲の幻想的な演奏シーンが収められ、英国ではそのサウンド・トラックEP盤にも収録された。また、アメリカでは同題のLPアルバムに収録、発売された。その動画を見たが確かに幻想的で不思議な世界が広がっていた。ナンセンスな言葉遊びが音楽にまで広がっている。


 特にジョンが力を注いだのは詞作で、完成に1ヶ月以上もかけている。内容は語呂合わせ、駄洒落、無理矢理に韻を踏んだ意味不明な言葉の羅列、ドラッグ体験などなど、実に難解かつ意味不明である。ウォルラスはルイス・キャロル作の物語『鏡の国のアリス』の「セイウチと大工」からイメージが膨らんだもの。そこからジョンは摩訶不思議な世界を創り出した。


 私はディズニー作品がとても好きである。確かに私自身「セイウチ」という言葉を聴いたときまっさきにこの話を思い出した。ディズニー作品『不思議の国のアリス』のなかでは双子のトゥイードル・ディーとトゥイードル・ダムによって語られている。先を急ぐアリスに、牡蠣の子どもたちのように好奇心旺盛だと…と話を持ちかけ、彼らはもったいぶりながら語りだす。そしてこの映画で描かれている「セイウチと大工」の不思議な世界観が、ジョンの歌詞にも反映されていると感じた。


 この話と歌詞にも共通点がある。この曲2フレーズ目[See how they run like pigs from a gun, see how they fly. I'm crying.みろよ 豚が銃を向けられて逃げるどころか飛んでるぜ 泣けちまう〕がそれだ。


 「砂を使って働こう」という提案を出した大工に「働くのはごめんだ。もっと気の利いた話を楽しみたい。例えば海が煮えたとか“ブタが飛んだ”とか。しかしブタには羽がない」といっている。また時たまセイウチは涙を流して感動したりする。この部分も歌詞で{I'm crying, i'm crying I'm crying, i'm crying. 泣けちゃう ホント泣けちまう}と繰り返している部分に通じるものがある。そしてこの話をすることによってアリスに{好奇心への警告}を呼びかけている。映画内ではところどころ削られているので、もっと複合する点があると思われる。


 またアリス以外での歌詞中では彼の大好物でもある「Sitting on a cornflake, waiting for the van to come.コーンフレイクのうえに腰掛けて 送迎者を待っているんだ」というクレイジーでアバンギャルドなフレーズが次々に飛び出す。曲中に出てくる「エッグマン」というのは実はエリック・バートンの事である。ビートルズは彼の事をその変わった性癖から「エッグ」と呼んでいた。ジョンはこの曲を100 年は楽しめるだろうと大変に気に入っており、実際に歌詞がリズムの一部になり韻を踏む言い回しやあらゆる解釈が可能な意味深長なフレーズはまさしくジョン独特の世界である。


 そして音楽的要素。ある日ジョンは自宅の前を救急車がサイレンを鳴らして走り過ぎる音を聴いてそのドプラー効果による高低のサウンドと規則的な音の間隔に合わせていくつか言葉を当てはめた。曲のイントロから始まる最初の歌詞の部分である。イントロの救急車のサイレンはジョンのエレクトリックピアノ。曲全体の音の流れはこのサイレンがベースになっている。ボーカルもフランジングなどの加工が施されている。サウンドもあらゆる要素が入り交じり歌詞に劣らず音の百貨店然としている。


 この曲は完成に1ケ月近くかけた力作だけにかなり聴きどころが多い。デモテープを聴いた限りではごく普通のロックだが、オーケストラが加わるとまったく違った曲に変貌した。そのオーケストラアレンジを担当したのがジョージ・マーチンである。8本のヴァイオリン、4本のチェロそして3つのホルンが紡ぎ出す重厚なサウンドはこの曲の静脈と動脈を司っている。彼の力の凄さが改めて認識できるだろう。


 また彼はジョンとエンディングに挿入するコーラスもアレンジしている。マイケル・サムズ・シンガーズの男の子たちには"Oompah Stick It Up Your Jumpah"と歌わせ同時に女の子たちには"Everybody's Got One"と繰り返させた。このセッションはビートルズもコーラス隊も充分に満足できたものだったという。イントロはジョンの弾くメロトロン。この曲には正式に2つのヴァージョンが存在する。世界中の殆どがイントロ4回なのに対してイギリス盤のみが6回のヴァージョンでのリリースだった。


 また中間部の{Yellow matter custard, dripping from a dead dog's eye. 死んだ犬の眼から カスタードクリーム、つまり膿が滴る}の前に2拍の音が入っているものもある。この曲がエプスタインの死から僅か9日後にレコーディングが開始されている事でジョンの歌う「アイム・クライング」の部分が悲痛に聴こえる。


 前半と後半を繋ぐ部分とエンディングで聞こえるラジオ音は、ジョンがコンソールに入力したBBCのラジオ放送音声のダイヤルを回してつくったもの。最後に聞こえるセリフはそのラジオでたまたま流れていたBBCの生番組「シェークスピア/リア王」の一部である。


 映画の中でもこの曲のシーンはもっともインパクトが強い。特にラストでエッグマンたちが並んで行進するシーンは、一時ビートルズがこの映画の脚本と監督を打診した英国俳優のパトリック・マッグーハンのテレビ映画「プリズナーNo.6」に似たシュールな映像で強く印象に残る。結局この曲がジョンにとって最後のサイケ・ナンバーとなり、以降、再びR&R的な作風に戻っていく。


●参考文献

「サブカルチャー論1」 06,4,19 「ビートルズ①」配布プリント 英語歌詞

http://display.lyrics.astraweb.com:2000/display.cgi?beatles%2E%2Eanthology_2%2E%2Ei_am_the_walrus_lennon_mccartney

ブエナビスタホームエンターテインメント「不思議の国のアリス」